性感染症治療

性感染症とは

「性的接触によって広がる病気」と定義されます。通常の性行為だけでなく、オーラルセックスやアナルセックスなどの性的接触によっても感染が起こります。

したがって、特別な状況での感染だけでなく、普段の日常生活の中で誰でも感染する可能性がある健康問題です。

治療可能な病名

クラミジア

日本で一番頻度の高い性感染症です。

～感染する部位と主な症状～

・男性の場合
のど
痛みや違和感
尿道
排尿時の痛み、尿道から粘液が出る
精巣
睾丸の腫れや痛み　※自覚症状がほとんどない場合もあります

・女性の場合
のど
痛みや違和感
尿道
排尿時の痛み、尿道から粘液が出る
腟・子宮
おりものの増加、性交痛
お腹の中
発熱、腹痛　※女性の半数以上は、感染していても自覚症状がありません

アジスロマイシン500㎎　2錠（1日1回2錠）

・1回飲みきりのお薬
薬が効いた場合、治療後1週間を目処に症状が改善していきます。

レボフロキサシン500㎎　14錠（1日1回(1回1錠)14日分）

2週間飲み続けるお薬
薬が効いた場合、治療後1週間を目処に症状が改善していきます。14日間は服用を継続してください。

副作用
むくみ、下痢、じんましんなどの皮膚症状、アトピー性皮膚炎憎悪、光線過敏症（日光アレルギー）反応、その他アレルギー反応
発疹、不眠、めまい、頭痛、吐き気、嘔吐、腹部不快感、腹痛など
※もし副作用が辛い場合は、医師にご相談ください。

カンジダ

痒みや白いオリモノが特徴的です。常在菌のため、性交渉とは無関係に発症します。

～感染する部位と主な症状～

・男性の場合
性器
亀頭や包皮の赤み・痒み・白いカス
尿道
排尿時の痛み、違和感　※自覚症状がほとんどない場合もあります

・女性の場合性器
ヨーグルト様のおりものの増加、強いかゆみ、性交時痛、赤み、腫れ
尿道
排尿時の痛み、違和感　※自覚症状がほとんどない場合もあります

・男性の場合

オキナゾールクリーム10g　1本
1日2～3回、1週間塗ります。

副作用
・クリーム
発赤、刺激感、接触皮膚炎（かぶれ）、局所の腫脹（腫れ）、かゆみの増強など

・女性の場合

オキナゾール膣錠600㎎　1錠（週1回1錠）
1週間に1回1錠を使用します。　※膣錠なので、飲まないでください。
オキナゾールクリーム10g　1本
1日2～3回、1週間塗ります

副作用
・膣錠
局所の発赤、刺激感、ひりひり感、疼痛、過敏症（かゆみ、発疹など）

性器ヘルペス

水ぶくれが特徴的な、日本で2番目に多い性感染症です。

～感染する部位と主な症状～

・男性の場合
性器・肛門
亀頭・陰茎・包皮・肛門に痛みやかゆみを伴う水ぶくれ・潰瘍
その他の部位
鼠径リンパ節の腫れ、発熱

・女性の場合性器
外陰部・子宮頸部に痛みやかゆみを伴う水ぶくれ・潰瘍
尿道周囲
排尿時の痛み、違和感
その他の部位
鼠径リンパ節の腫れ、発熱

バラシクロビル500㎎

標準的な治療期間は、初めて治療される方は10日間、再発の方は5日間です。

副作用
頭痛、眠気などの意識低下、腹痛、吐き気、下痢、発疹、じんましん、かゆみ、光線過敏症（日光アレルギー）など

トリコモナス

男性は症状に乏しく、女性は泡のようなおりものが特徴的な性感染症です。

～感染する部位と主な症状～

・男性の場合
前立腺、尿道
自覚症状はほとんどありません

・女性の場合

腟
泡状で臭いの強いおりものの増加、外陰部の痛み、強い痒み
※女性の2〜5割は、感染していても自覚症状がありません

フラジール内服錠250㎎　20錠（1日2回(1回1錠）10日分）

1日2回、10日間服用してください。
標準的な治療期間は10日間です。

副作用
食欲不振、胃の不快感、吐き気、下痢、腹痛、発疹など

マイコプラズマ/ウレアプラズマ

淋菌の次に強い尿道炎症状を引き起こす性感染症です。

～感染する部位と主な症状～

・男性の場合
のど
痛みや違和感
尿道
排尿時の痛み、尿道から粘液が出る
精巣
睾丸の腫れや痛み　※自覚症状がほとんどない場合もあります

・女性の場合
のど
痛みや違和感
尿道
排尿時の痛み、尿道から粘液が出る
腟・子宮
おりものの増加、性交痛　※自覚症状がほとんどない場合もあります

アジスロマイシン500㎎　2錠（1日1回(1回2錠)1日分）

1回2錠、飲みきり

尖圭コンジローマ

鶏のとさかや、カリフラワーのような形のイボが特徴的な性感染症です。

～感染する部位と主な症状～

・男性の場合
亀頭、包皮、陰嚢、肛門、尿道
鶏のとさかや、カリフラワーのようなイボができる

・女性の場合
外陰部、腟、子宮頸部、肛門、尿道
鶏のとさかや、カリフラワーのようなイボができる

ベセルナクリーム　2週間分（週3回、1日1回就寝前に塗布）

標準的な治療期間は、塗り薬の場合で約8週間程度です。
2週間の治療で治癒しない場合は、治療を継続して下さい。最長で16週間まで継続可能です。

副作用
ほとんどの人で、発赤やびらん、表皮の剥離、浮腫（むくみ）、痛みやカユミなどを伴う皮膚反応が起こります。
これらは、効果の証でイボや角化皮膚が消失する治癒の過程でもありますから、ある程度はやむを得なません。

梅毒

全身に様々な症状を引き起こすため、他の疾患と区別が難しい性感染症です。
日本では近年急速に感染者数が増加しています。

～感染する部位と主な症状～

第1期梅毒（感染機会から、10〜90日後）
直接接触のあった性器や口、肛門周囲などに、発疹やしこりができます。
痛みは感じないことが多いです。その後一旦症状は消失します。

第2期梅毒（第1期から、4〜10週間後）
細菌が全身に拡がることにより、全身に様々な症状が出ます。典型的には、赤い斑点(梅毒性バラ疹)が拡がりますが、皮膚症状が見られない場合もあります。
その他にリンパ節の腫れや、肝臓や腎臓などの臓器障害も起こりえます。

第3期梅毒（感染後数年以上経過）
感染から5年以上で、皮膚、筋肉、骨などに腫瘍(ゴム腫)ができ、その後さらに進行すると心臓や血管、神経などが障害され重い症状が出現します

アモキシシリン250㎎　168C（1日3回(1回2C）28日分）

1日3回、1回2カプセル、28日分
標準的な治療期間、内服薬は4週間です。
治療開始直後に熱が出たり、8日目頃から薬疹が出る場合があります。

副作用
多いのは下痢です。便がやわらかくなりやすいです。これは、抗菌作用により、腸内細菌のバランスが乱れるためです。軟便くらいでしたら、心配いりません。
腎不全、血液障害、大腸炎、皮膚障害の報告もあります。